TVショッピングに力を入れ始めたアマゾン

TVショッピングというと、かつては親の世代やさらに上のおじいちゃんやおばあちゃんが見ていたイメージが強い。

アメリカでは1960年代にはじまり、1986年にTVショッピング専門チャンネルの QVC が開局している。私もアメリカにいた頃は散々目にした。当時すでに飽和気味だったのか、似たようなフィットネスグッズが溢れかえっていた。販売手法としては、すでに古典的なものといっていい。

だがアマゾンは、この時代遅れに見えるマーケティング手段をオリジナルTVショーとして構築。現代の消費者に合わせ、再活性化させようとしている。

内容はこうだ。

体裁は、ハイディ・クルムとティム・ガンが司会を務める「Making The Cut」というTV番組。毎週、無名のデザイナーが十数人登場し、自身がデザインした服をモデルに着せてランウェイを歩いてもらうというファッションショーだ。デザイナーの苦悩も盛り込んだリアリティ番組仕立てで、その週のベストドレスを競うリアルな姿を追う。視聴者に緊迫感を与える真剣勝負で、見るうちにその世界に引き込まれ、思わず感動してしまう。そして最終選考で今週のベストに選ばれたドレスは、番組終了直後から実際に販売されるのだ。すでにお分かりかと思うが、このドレスはアマゾンでのみ購入できる。

どのドレスもすぐに売り切れになってしまうそうだが、ALEXA から購入すればソファから離れることなく直ぐに購入できるので、売り切れという悲しい目に遭わなくて済むかもしれない。

これまでのTVショッピングは司会者がスタジオで商品のメリットを熱心に説明し、アシスタントが「ワオ! これは絶対買い!」というパターンがお決まりだった。しかし買ってはみたものの、「全然ダメだ」、「騙された」という感情を抱いた消費者も多いのではないだろうか。「商品の美点を煽りすぎるスタイルのTVショッピングは信用できない」。一度でもそういう印象を持ったら、次回以降の購入をためらうはずだ。

このアマゾンのプログラムでは、商品の「素晴らしさ」を押し付けたり、無理に購入へと誘導することはしない。消費者自身が感動し、ドラマの詰まったその服に腕を通してみたいと心動かされて購入する仕掛けで、STORY TELLING 的な売り方だ。自発的な購入なので、騙されたという感情を抱くこともない。従来よりはるかに強力なマーケティングとなっている。

日本では昨今バラエティー仕立てやドキュメント仕立てのTVショッピングが隆盛だが、次に流行るのは、この感動リアリティ系かもしれない。

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